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ゴールドインキとは?赤口・青口の違いと現場で起こりやすい課題への対策

インキ
ゴールドインキは、銅や亜鉛などの金属粉を顔料として用い、通常のカラー印刷では表現できない金属光沢を出す特色インキです。意匠性の高さと引き換えに、特殊な顔料を使用することに由来する現場での扱いにくさもあります。本記事では、赤口・青口の違いや油性・UVの選択に加えて、かすれや目詰まりといった課題への対策、選定時に確認したい条件までを整理します。
この記事の要約
  • ゴールドインキは真鍮粉とニスを練り合わせ、光の反射で金属光沢を表現する(金インキとも呼ばれる)
  • 金属粉の反射で発色するため、通常の色インキと混ぜた場合には金属光沢(輝度)が下がる可能性がある
  • 金属粉は保存安定性が低い傾向があり、特に一般インキと混ぜた特練には注意が必要
  • 金属粉が表面に配向して金属発色するため、耐摩擦性が弱い傾向がある
  • 銅と亜鉛の配合比で、赤みの強い赤口と青みの強い青口に分かれる
  • 真鍮粉は酸化によって変色しやすいので、経時で見た目が変わる可能性がある
  • 転移性が良好ではないため、細線・小文字のかすれが起こりやすい
  • 真鍮粉は金属光沢(輝度)が得られる一方で、インキ調子は軟調となり、印刷するうちに徐々にインキが盛れてきて、細線・小文字の目詰まりが起きやすい

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この記事の目次
  1. ゴールドインキとは?金属光沢を表現する特色インキ
    • 金属粉とニスで光沢を表現する仕組み
    • 箔押しとの使い分け
  2. ゴールドインキの種類と選び方
    • 赤口(赤金)と青口(青金)の違い
    • 従来の油性インキとUVインキの選択
    • 環境対応グレードという選択肢
  3. 印刷現場で起こりやすい課題と対策
    • 細い線や小さな文字のかすれ
    • 紙質による発色の違い
    • 混色が難しい理由
    • 網点(グラデーション)を避ける理由
    • 目詰まりと転移不良への対応
  4. ゴールドインキを選定する際の確認事項
    • 基材と後加工の条件
    • 輝度感と生産スピードのバランス
    • サンプルでの事前確認
    • 見本帳と色見本の活用
  5. まとめ

ゴールドインキとは?金属光沢を表現する特色インキ

ゴールドインキは、金属粉の反射によって金色を表現します。プロセスインキの掛け合わせで作る疑似的な金色とは、発色の仕組みそのものが違います。

金属粉とニスで光沢を表現する仕組み

細かく砕いた金属粉をニスと混ぜ合わせることで、金属特有の質感と光沢が生まれます。用いられるのは銅と亜鉛の合金である真鍮の粉(真鍮粉)で、印刷業界では「金インキ」とも呼ばれます。光を反射する粒子が紙の表面に並ぶため、見る角度によって表情が変わるのも特徴です。金属粉の粒子径は輝度と印刷適性の両方に関わり、粒子が大きいほど光沢は強く出ますが、その反面、金属粉の転移性は低くなるため、印刷適性の問題(かすれなど)が発生しやすくなります。意匠性の要求と現場での扱いやすさは、トレードオフの関係です。

箔押しとの使い分け

金色の表現手法としては箔押しもあります。箔押しは金属フィルムを熱と圧力で転写するため、鏡面に近い強い輝きが得られる方法です。対してゴールドインキは、印刷工程のなかで広い面積のベタや細かな模様を表現できる点が強みになります。加工工程を増やさずに済むため、生産面での負荷も軽くなります。求める輝度、対象の面積、工程数と単価を並べて、どちらで対応するかを決めます。

ゴールドインキの種類と選び方

色味、乾燥方式、環境対応の3つの観点で整理すると、案件に合うグレードを絞り込めます。

選択の軸 判断の内容
赤口(赤金)と青口(青金) 銅の割合が多いと赤口、亜鉛が多いと青口。ブランドカラーの系統を最初に確定させる
油性インキとUVインキ 油性は紙に馴染んだ落ち着いた風合い、UVは乾燥を待たずに後加工へ移りやすい
環境対応グレード 当社のUVゴールドは無溶剤タイプで、環境対応の要件が挙がる案件でも選びやすい

赤口(赤金)と青口(青金)の違い

色味は、含有する銅と亜鉛の配合比率で決まります。銅の割合が多いと暖かみのある赤口(赤金)に、亜鉛の割合が多いとすっきりとした青口(青金)になります。ブランドカラーの規定がある案件では、どちらの系統で合わせるかを最初に確定することを推奨します。既存の刷り物と並べる用途では、過去に使用したグレードの情報も判断材料の一つです。

従来の油性インキとUVインキの選択

ゴールドインキには、従来の油性インキとUV(紫外線硬化型)インキがあります。従来の油性インキは紙に浸透しながら酸化重合で乾燥し、紙に馴染んだ落ち着いた風合いに仕上がります。UVインキは紫外線を照射して硬化させるため、乾燥を待つ工程がなく、後加工へそのまま移れる点が生産上の利点になります。金属光沢の出方は基材への着肉性によっても変わるため、仕上がりのイメージと生産条件の両面から使い分けるのが基本です。

環境対応グレードという選択肢

得意先の要件に環境への配慮が含まれる案件も増えました。当社のUVゴールドは無溶剤タイプで、環境対応の要件が挙がる案件でも選びやすい設計です。「UV ゴールド AR-NV」は新規顔料の採用によってVOCフリー化を実現した環境対応型で、高速印刷時の転移性に優れ、高い輝度感と濃度感が得られます。比較的ゲル化や増粘、輝度低下が少なく、保存安定性の面でも扱いやすいグレードです。

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印刷現場で起こりやすい課題と対策

金属粉を含むインキは、通常のプロセスインキとは異なる挙動を示します。あらかじめ想定しておくと、刷り出しでの手戻りを防げます。

起こりやすい課題 対策の考え方
細い線や小さな文字のかすれ 線幅と文字サイズに下限を設け、デザインの段階で得意先と共有する
紙質による発色の違い 平滑なコート紙・アート紙が適し、非塗工紙では光沢が出にくい
混色が難しい 他の色と混ぜると金属光沢が損なわれる。赤口・青口の選択で色味を調整する
網点(グラデーション)が向かない 粒子が粗く見え色ムラの原因になる。濃度100%のベタで使う
目詰まりと転移不良 印刷スピード、インキの供給量、湿し水のバランスを記録して切り分ける

細い線や小さな文字のかすれ

金属粉の粒子は通常の顔料より大きいため、細い線や小さな文字では再現が安定しにくくなります。版やブランケットにインキが詰まる目詰まりも起こりやすくなります。線幅や文字サイズに下限を設け、デザインの段階で得意先と共有しておくと、刷り直しのリスクが下がります。細部の再現が必要な箇所は、プロセスインキや別の加工に振り分ける判断も選択肢です。

紙質による発色の違い

仕上がりは紙質に大きく左右されます。金属粉の光沢を活かすには、表面が平滑にコーティングされたコート紙やアート紙が適しています。こうした紙ではインキが表面で均一に定着し、金属粉が光を反射しやすくなるためです。反対に、上質紙のような非塗工紙ではインキが繊維に吸収され、金色の輝きが失われてくすんだ色調に見えることがあります。用紙が先に決まっている案件では、その紙で刷ったサンプルを確認しておくと確実です。

混色が難しい理由

金インキは、プロセスインキのように他の色と混ぜて色を作る使い方が難しくなります。金属粉が光を反射して発色する仕組みのため、他のインキを混ぜると金属光沢が損なわれ、狙った色にもなりません。色味を調整したい場合は、赤口・青口の選択や、あらかじめ調色された製品から選ぶ形になります。この前提はデザイン側と共有しておくと、入稿後の手戻りを防げます。

網点(グラデーション)を避ける理由

濃淡をつける網点表現は、金属粉を含むインキには向きません。真鍮粉は金属光沢(輝度)が得られる一方で、インキ調子は軟調となります。このため、網点形状が良好ではない傾向があり、細かいグラデーションを得るのには、不向きな面があります。仕上がり色を事前に予測しづらく、イメージから離れた仕上がりになる恐れもある点に注意が必要です。基本は濃度100%のベタで設計します。

目詰まりと転移不良への対応

連続して印刷すると、版やブランケットへの金属粉の堆積が進み、転移が不安定になる場合があります。印刷スピード、インキの供給量、湿し水のバランスといった条件で挙動が変わるため、現象が出た段階で条件を記録しておくと原因の切り分けに役立ちます。当社ではUV印刷で起こりやすい事象について、症状別の技術情報を公開しています。近い症状がないかご確認いただき、該当がなければ条件をお知らせください。

参考:UVインキの素朴な疑問|UV印刷トラブル問答

ゴールドインキを選定する際の確認事項

インキメーカーへ相談する際は、次の4点を整理しておくと選定の精度も上がります。

確認項目 押さえておきたい内容
基材と後加工の条件 用紙の種類、表面加工の有無、印刷後の後加工の内容を共有する
輝度感と生産スピード どちらを優先するかで候補となるグレードが変わる
サンプルでの事前確認 実際の基材に刷って色味・輝度・細部の再現を確認する
見本帳と色見本の活用 画面上では再現しきれないため、実物を見ながら色味を共有する

基材と後加工の条件

使用する用紙の種類、表面加工の有無、印刷後の後加工の内容を共有します。密着や擦れが問われる用途では、実際に使用する原反をお預かりしてテストを行い、結果に基づいて選定する流れが堅実です。

輝度感と生産スピードのバランス

輝度を重視する場合と生産性を重視する場合とで、推奨するグレードが変わります。生産性を重視するなら、転移性や硬化条件が主な判断軸になります。輝度を重視するなら、顔料設計や配合バランスを含めた仕上がり品質を評価しながら選定します。どちらを優先するかは案件ごとに異なるため、まずは求める仕上がり、生産量、納期といった条件を整理したうえで検討する流れです。高速印刷での安定性が要求事項に入る場合は、その旨も最初に共有しておくと選択肢を絞り込めます。

サンプルでの事前確認

金属光沢は数値だけで判断しきれない要素です。実際の基材に刷ったサンプルで、色味・輝度・細部の再現を確認する流れが基本になります。見本帳のご提供や、条件に応じたサンプル手配も承っています。評価の観点を事前に決めておくと、試作の回数を抑えられます。確認したい項目としては、狙いの色味との差、想定する照明下での見え方、細線や小文字の再現、後加工を行ったあとの状態の4点が挙げられます。量産時の条件に近い形で刷って判断すると、立ち上がりのばらつきを抑えられます。

見本帳と色見本の活用

色味の共有には見本帳が有効です。金属光沢は画面上では再現しきれないため、実物を見ながらの確認が欠かせません。得意先との色合わせでも、同じ見本を見ながら進めると認識のずれが減ります。見本帳のご提供や、対象シリーズの確認も承りますので、必要な範囲をお知らせください。中間色については、在庫の有無に関わらずお問い合わせいただければ確認いたします。なお、販売時期や版数によって色のばらつきが生じる場合があるため、既存の刷り物と厳密に合わせたい案件では、現行のカラーチップでの確認をおすすめします。

まとめ

ゴールドインキは、金属粉の反射によって箔押しとは異なる質感の光沢を表現できる特色インキです。赤口と青口の色味、従来の油性インキとUVインキという乾燥方式の違いを押さえたうえで、案件の意匠と生産条件に合うグレードを選びます。一方で、粒子が大きいことに由来するかすれや目詰まりは、設計段階の配慮と印刷条件の管理で抑えられる部分が大きいものです。

T&K TOKA では、環境対応型の紫外線硬化型ゴールドインキ「UV ゴールド AR-NV」をはじめ、金属光沢の表現に対応するUVインキをご用意しています。ご指定の色味に合わせた特練りにも対応いたします。基材や後加工、生産条件に応じた選定のご相談やサンプルの手配も承りますので、ゴールドインキの選定でお困りの際はお気軽にお問い合わせください。

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