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ポリアミド樹脂(ナイロン)とは?種類や特徴、用途を解説

機能性樹脂
ポリアミド樹脂の採用や材料選定を検討しているものの、種類ごとの特性や用途の違いがわからず悩んでいないでしょうか。一口にポリアミド樹脂と言っても、自動車部品などの構造材に使われるタイプから、印刷インキや接着剤の材料となる重合脂肪酸系のタイプまで、その性質と役割は大きく分かれます。
この記事では、ポリアミド樹脂の基礎知識から種類ごとの違い、用途による使い分けまでを分かりやすく解説します。読み終えると、目的に適したポリアミド樹脂を見極めやすくなります。
なお、T&K TOKAが取り扱うのは、印刷インキや接着剤、エポキシ樹脂の硬化剤、樹脂の改質材などに用いられる重合脂肪酸系のポリアミド樹脂です。記事の後半で、当社が扱うポリアミド樹脂の種類と用途を詳しく取り上げます。
この記事の目次
  1. ポリアミド樹脂(ナイロン)とは
    • ポリアミド樹脂の基本定義と成り立ち
    • ナイロンとアラミドの構造的な違い
  2. ポリアミド樹脂の優れた特徴とメリット
    • 機械的強度と耐摩耗性の高さ
    • 高温環境に耐える優れた耐熱性
    • ガソリンや潤滑油に対する耐油性
  3. ポリアミド樹脂のデメリットと注意点
    • 水分を吸収しやすいことによる寸法変化
    • 強酸やアルコールに対する耐性の低さ
  4. ポリアミド樹脂の代表的な種類と違い
    • 成形性に優れたPA6(ナイロン6)
    • 強度と耐熱性が高いPA66(ナイロン66)
    • 低吸水性を実現した特殊ポリアミド
  5. ポリアミド樹脂の成形加工法とポイント
    • 射出成形・押出成形・ブロー成形の特徴
    • 成形前に行う予備乾燥の重要性
  6. 用途で異なるポリアミド樹脂 ― 構造材用と重合脂肪酸系
    • 重合脂肪酸系ポリアミド樹脂とは
  7. T&K TOKAが扱うポリアミド樹脂と主な用途
    • 液状タイプ(低分子量)― エポキシ樹脂の硬化剤
    • 固形タイプ(中分子量)― 印刷インキのバインダー・ホットメルト接着剤
    • 高分子量タイプ(ポリマー)― 成形材料・改質材・帯電防止など
  8. まとめ

ポリアミド樹脂(ナイロン)とは

ポリアミド樹脂は、様々な工業製品を支える重要なエンジニアリングプラスチックの一つです。ここでは、基本的な定義や構造の違いについて詳しく見ていきましょう。以下の表に、ポリアミド樹脂の概要をまとめています。

項目 内容 補足事項
一般的な名称 ナイロン アメリカのデュポン社が名付けた商標が広く定着したもの
化学的な構造 アミド結合の繰り返し 熱を加え軟化させる熱可塑性樹脂に分類される
主な分類 脂肪族と芳香族 化学的な骨格の構造によって特性が大きく異なる

ポリアミド樹脂の基本定義と成り立ち

ポリアミド樹脂とは、主鎖にアミド結合が繰り返し連なっている熱可塑性高分子材料を指します。一般的には「ナイロン」という名称で広く親しまれている素材です。このナイロンという名前は、1935年にアメリカのデュポン社が世界で初めての合成繊維として開発した際に命名したものに由来しています。本来はデュポン社の商品名でしたが、現在ではポリアミド系繊維(樹脂)の総称として広く使われています。

元々は衣料用の合成繊維として普及を始めましたが、その後に優れた機械的特性が評価されるようになりました。現在では、自動車部品や電子機器など、過酷な環境で使われる工業用プラスチックとして欠かせない存在となっています。

ナイロンとアラミドの構造的な違い

ポリアミド樹脂は、化学的な骨格構造の違いによって大きく二つの種類に分けられます。

一つ目は脂肪族骨格を含むポリアミドであり、これが一般的な用途でナイロンと呼ばれている素材です。適度な柔軟性と成形のしやすさを兼ね備えており、日用品から工業部品まで幅広い分野で活用されています。

二つ目は芳香族骨格だけで構成されるポリアミドであり、こちらはアラミドという名称で区別されています。アラミドはナイロンよりもさらに強度や耐熱性が高く、防弾チョッキや航空宇宙産業の部品など、極めて高い性能が要求される特殊な分野で重宝されています。同じポリアミド樹脂であっても、構造の違いによって適した用途が大きく変わるという特徴を持っています。

ポリアミド樹脂の優れた特徴とメリット

ポリアミド樹脂が多くの工業製品に採用される背景には、他のプラスチックにはない優れた特性が存在します。どのようなメリットがあるのかを順番に解説します。以下の表は、ポリアミド樹脂の代表的な強みを整理したものです。

特性 概要 期待できる効果
機械的強度 引張強度や耐衝撃性が高い 外部からの強い力が加わっても壊れにくい部品を作れる
耐摩耗性 摩擦係数が小さく自己潤滑性がある 部品同士が擦れ合う箇所でも摩耗を抑えて長寿命化できる
耐熱性 融点が高く高温に耐えられる エンジン周辺など熱が発生する環境でも性能を維持できる
耐油性 ガソリンや潤滑油に触れても劣化しにくい 自動車や機械の燃料系部品にも使用されている

機械的強度と耐摩耗性の高さ

ポリアミド樹脂の代表的なメリットは、優れた機械的強度を備えていることです。外部からの力に対する引張強度や、衝撃を受けた際の耐衝撃性が高く、簡単に割れたり変形したりしません。

さらに、表面が硬くて摩擦係数が小さいという特性も持っています。この自己潤滑性と呼ばれる性質のおかげで、部品同士が激しく擦れ合う環境でも削れにくくなっています。そのため、金属の代わりとなる歯車や軸受けといった摺動部品の素材として用いられています。

高温環境に耐える優れた耐熱性

プラスチックの中では比較的融点が高いことも、ポリアミド樹脂の強みと言えます。一般的な汎用プラスチックは熱に弱く、高温になると形が崩れてしまう傾向があります。

しかし、ポリアミド樹脂は高温環境下でも一定の強度と形状を保つことができます。この優れた耐熱性を活かして、熱が発生しやすい電子機器の内部パーツや、調理器具の部品などに幅広く活用されています。熱による変形リスクを抑えやすいため、耐熱性が求められる部品に用いられています。

ガソリンや潤滑油に対する耐油性

ポリアミド樹脂は、各種の油に対する強い耐性を持っています。ガソリンやエンジンオイル、工業用の潤滑油などに長時間触れても、樹脂が溶けたり劣化したりしにくいという特徴があります。一般的なゴムや一部のプラスチックは油に触れると膨張してしまうことがありますが、ポリアミド樹脂はそのような問題が起こりにくくなっています。この特性があるため、自動車の燃料チューブやオイルパンといった、常に油と接する重要保安部品の素材としても用いられています。

ポリアミド樹脂のデメリットと注意点

多くのメリットを持つポリアミド樹脂ですが、設計や加工の段階で配慮しなければならない弱点も存在します。製品のトラブルを防ぐために、注意すべきポイントを確認しておきましょう。以下の表に、ポリアミド樹脂のデメリットと対策の方向性をまとめています。

デメリットの要因 発生しうる問題 設計・加工上の対策
高い吸水性 水分を吸収して寸法が変化しやすくなる 使用環境の湿度を考慮した余裕のある寸法公差を設ける
水分による剛性低下 吸水によって樹脂が柔らかくなり強度が落ちる 吸水率の低い特殊なポリアミド樹脂への変更を検討する
耐酸性の低さ 強酸に触れると化学反応により劣化が進む 酸性の薬品を使用する環境では別の樹脂素材を採用する
耐アルコール性の低さ アルコール類との接触で性能が低下する アルコール洗浄や消毒が必要な部品への適用を避ける

水分を吸収しやすいことによる寸法変化

ポリアミド樹脂を扱う上で特に注意が必要なのは、吸水性の高さです。

樹脂を構成するアミド基が親水性を持っているため、空気中の湿気や周囲の水分を吸収しやすい性質があります。水分を吸収したポリアミド樹脂は、体積が膨張して寸法が変化します。さらに、樹脂が柔らかくなることで、本来の機械的強度や剛性が低下するリスクも伴います。

精密な寸法精度が求められる部品を設計する際は、この吸水による寸法変化をあらかじめ計算に入れて、使用環境の湿度を考慮した余裕のある寸法公差を設けることが求められます。剛性低下が問題となる場合は、吸水率の低い特殊なポリアミド樹脂への変更を検討するのも有効です。

強酸やアルコールに対する耐性の低さ

油には強いポリアミド樹脂ですが、強酸や一部のアルコールに対しては耐性が低いという弱点があります。

バッテリー液のような酸性の強い物質に触れると、化学反応によって樹脂の劣化が急速に進む恐れがあります。また、消毒用のアルコールなどを頻繁に吹きかける環境でも、ひび割れや変色などの問題を引き起こすことが考えられます。

薬品を使用する工場や、医療現場などで使用する部品を検討する際は、対象となる化学物質と樹脂の相性を事前にしっかりと確認することが推奨されます。酸性の薬品を扱う環境では別の樹脂素材の採用を視野に入れ、アルコール洗浄や消毒が頻繁に必要な部品への適用は避けると良いでしょう。

ポリアミド樹脂の代表的な種類と違い

一口にポリアミド樹脂と言っても、原料の組み合わせによって様々な種類が存在します。ここでは、広く流通している代表的な種類とその違いについて解説します。以下の表は、主要なポリアミド樹脂の特性を比較したものです。

種類 主な特徴 適している用途の例
PA6(ナイロン6) 成形性に優れ、適度な柔軟性を持つ 自動車の内外装部品
結束バンド
一般的な機械部品
PA66(ナイロン66) PA6よりも融点が高く、機械的強度が強い エンジンルーム内の耐熱部品
電子機器のコネクタ
特殊ポリアミド 長鎖構造により吸水性が低く、寸法が安定する 燃料チューブ
精密ギア
厳しい環境下のケーブル被覆

成形性に優れたPA6(ナイロン6)

ポリアミド樹脂の中でも、特に汎用性が高く広く使われているのがPA6です。適度な柔軟性と高い強度をバランス良く兼ね備えており、金型に流し込む際の成形性が非常に優れています。加工がしやすいため、複雑な形状の部品を大量生産するのに適した素材と言えます。日用品から自動車部品まで幅広い場面で活躍しており、初めてポリアミド樹脂を採用する際の基準となる存在です。

強度と耐熱性が高いPA66(ナイロン66)

PA6と並んで広く利用されているのが、PA66と呼ばれる種類です。PA6と比較すると、分子の構造がより緻密になっているため、機械的強度が高く硬いという特徴を持っています。さらに融点も高いため、より厳しい高温環境下での使用に耐えることができます。この優れた耐熱性と強度を活かして、自動車のエンジン周辺部品や、摩擦による発熱が想定される工業用ギアなどに積極的に採用されています。

低吸水性を実現した特殊ポリアミド

PA6やPA66の弱点である吸水性を克服するために開発されたのが、PA11やPA12などの長鎖ポリアミドと呼ばれる特殊な種類です。炭素の鎖が長く設計されているため、水分を吸収しにくく、寸法変化や強度低下を起こしにくいという大きなメリットがあります。精密な寸法が要求される部品や、常に水に触れる環境で使用する製品に選ばれる傾向があります。コストは汎用品よりも高くなりますが、環境の変化に強い信頼性の高い素材となります。

ポリアミド樹脂の成形加工法とポイント

ポリアミド樹脂を製品の形にするためには、適切な加工方法を選ぶ必要があります。また、品質を安定させるための事前の準備も欠かせません。以下の表は、代表的な成形方法の違いをまとめたものです。

成形方法 適している製品の形状
射出成形 自動車部品や電子部品などの立体的で複雑な形状
押出成形 フィルム、チューブ、パイプのような長く連続した形状
ブロー成形 ボトルやタンクのような中が空洞になっている形状

射出成形・押出成形・ブロー成形の特徴

ポリアミド樹脂の加工において広く用いられる方法として、射出成形・押出成形・ブロー成形の三つがあります。

射出成形は、熱で溶かした樹脂を金型に注射器のように流し込む技術です。寸法精度が高く、複雑な形状の部品を高速で大量生産できるため、自動車のコネクタや機械のギアなどの製造に適しています。

押出成形は、溶かした樹脂を所定の形の穴からトコロテンのように連続して押し出す技術となります。こちらは食品用の包装フィルムや、配線を保護するチューブなどを途切れることなく製造したい場合に選ばれます。

ブロー成形は、パイプ状に押し出した樹脂を金型で挟み、内部に空気を吹き込んで膨らませる技術です。中が空洞になったボトルや燃料タンクのような形状を効率よく製造できるため、容器類の製造に多く採用されています。作る製品の目的に合わせて、最適な加工方法を選択することが重要です。

成形前に行う予備乾燥の重要性

ポリアミド樹脂を美しく丈夫に成形するために特に注意したいのが、加工前の予備乾燥です。デメリットの項目でも触れた通り、ポリアミド樹脂は空気中の水分を非常に吸収しやすい素材です。

水分を大量に含んだまま高い熱をかけて溶かそうとすると、樹脂の中で加水分解という化学反応が起きてしまいます。この現象が起きると、樹脂の分子量が低下して本来の強度が失われるだけでなく、成形した部品の表面に銀色の筋のような不良が発生する原因となります。

品質のトラブルを防ぐためには、専用の乾燥機を使用して樹脂の水分をしっかりと飛ばしてから加工機に投入する工程が求められます。

用途で異なるポリアミド樹脂 ― 構造材用と重合脂肪酸系

ここまで解説してきたPA6やPA66は、部品の骨格そのものを担う構造材用のポリアミド樹脂です。一方で、ポリアミド樹脂には原料に重合脂肪酸を用いるもう一つの系統があり、印刷インキや接着剤、エポキシ樹脂の硬化剤、樹脂の改質材といった用途に使われます。同じ「ポリアミド樹脂」でも、原料と役割が大きく異なります。

重合脂肪酸系ポリアミド樹脂とは

重合脂肪酸系ポリアミド樹脂は、重合脂肪酸を主な原料とし、ジアミンと反応させて得られるバイオマス系のポリアミド樹脂です。構造材用のポリアミドと比べて、有機溶剤に溶けやすい、接着性や顔料の濡れ性に優れる、加熱すると軟化しやすいといった扱いやすさを備えています。部品の骨格を成形するのではなく、他の材料に配合したり反応させたりして機能を引き出す点が特徴です。

T&K TOKAが扱うポリアミド樹脂と主な用途

T&K TOKAは、重合脂肪酸を原料とするバイオマス系のポリアミド樹脂を、分子量の低いものから高いものまで幅広く展開しています。分子量の違いによって性状が変わり、大きく液状のタイプ、固形のタイプ、高分子量のポリマータイプの3つに分けられます。それぞれ適した用途が異なるため、順に見ていきましょう。

液状タイプ(低分子量)― エポキシ樹脂の硬化剤

分子量が低く液状のタイプは、アミノ基がエポキシ樹脂と反応する性質を活かし、アミノ基を分子中に適度に含む設計とすることで、エポキシ樹脂を架橋させて硬化させる硬化剤として使われます。厳密には、低分子量から中分子量の領域にあたる製品です。接着剤や塗料など、エポキシ樹脂を用いる分野で、常温で硬化させたい場合に用いられます。

固形タイプ(中分子量)― 印刷インキのバインダー・ホットメルト接着剤

常温で固体のタイプは、有機溶剤に溶けるものが多く、顔料の濡れ性と接着性に優れます。この特性から、グラビア印刷やフレキソ印刷用インキのバインダー(ワニスに配合する樹脂)や、各種のバインダーとして使われます。また、加熱すると溶けて接着力を発揮する性質を活かし、ホットメルト接着剤や、溶剤に溶かして使う配合材料・接着材としても利用されます。

高分子量タイプ(ポリマー)― 成形材料・改質材・帯電防止など

分子量の高いポリマータイプは、重合脂肪酸系のナイロン及びナイロンエラストマーとして、より幅広い用途に使われます。他の材料に配合する接着材や改質材のほか、シート状に成形する用途、樹脂に練り込んで静電気の帯電を防ぐ永久帯電防止の用途、無機フィラーをまとめるバインダーなどが挙げられます。柔軟性や接着性、低吸湿性といった特長を活かせる点が強みです。

このようにT&K TOKAは、分子量の低い液状タイプから高分子量のポリマータイプまで、用途に応じたポリアミド樹脂を扱っています。いずれも部品の骨格をつくる構造材ではなく、他の素材に配合・反応させて機能を引き出す点に特長があります。

まとめ

この記事では、ポリアミド樹脂の特性や種類、注意点について解説しました。

本記事のポイント
  • ポリアミド樹脂は機械的強度や耐熱性、耐摩耗性に優れた素材である
  • 吸水性が高いため、使用環境に応じた寸法変化への対策が必要である
  • 成形性重視ならPA6、耐熱性重視ならPA66など、目的に合わせて種類を選ぶ
  • 自動車部品やエンジン周辺の耐熱部品など、過酷な環境で使われる工業製品に活用されている
  • T&K TOKAのポリアミド樹脂は、重合脂肪酸を原料とするバイオマス系のタイプで、構造材用のPA6・PA66とは別の系統として幅広い用途に使われる

自社製品の要件と樹脂の特性を正しく照らし合わせ、最適な素材選定を進めていきましょう。

また、T&K TOKAが取り扱うポリアミド樹脂は、重合脂肪酸を原料とするバイオマス系の製品です。
分子量の低い液状タイプはエポキシ樹脂の硬化剤に、
固形タイプは印刷インキのバインダーやホットメルト接着剤に、
高分子量のポリマータイプは成形材料や樹脂の改質材・帯電防止用途などに適しています。
用途に応じたグレードの選定やサンプルのご相談も承っておりますので、
詳しくはぜひ製品ページをご覧ください。

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