
- 枚葉印刷はカット済みの用紙を1枚ずつ給紙する方式で、対応できる用紙の幅が広い
- 輪転印刷はロール紙を連続給紙する方式で、大部数の生産に適している
- 枚葉印刷で使われるインキには、従来の油性インキとUVインキがある
- インキの選定は2段階で、まず油性枚葉インキとUVインキのどちらを使うかを決め、次に基材や後加工に応じてグレードを絞り込む
- 環境対応が求められる案件では、VOCフリーやバイオマス対応のグレードも選択肢になる
枚葉印刷に適したインキをお探しの方へ
オフセットインキの製品情報 →- 枚葉印刷とは?輪転印刷との違い
- 給紙方式と生産スピードの違い
- それぞれが適している領域
- 枚葉印刷で使われるインキの種類
- 油性枚葉インキの特性
- UVインキの特性と生産性
- 環境対応グレードという選択肢
- 特色・専用色への対応
- 枚葉印刷でインキを選ぶ際の判断軸
- 基材と後加工に合わせた選定
- 乾燥・硬化の条件と生産スピード
- トラブル発生時の切り分け
- 色再現と品質管理
- インキの切り替えを検討するときの手順
- 現状の課題を具体化する
- テストの範囲を決める
- 現場への定着まで見届ける
- 在庫と供給の見通しを確認する
- まとめ
枚葉印刷とは?輪転印刷との違い

枚葉印刷と輪転印刷の違いは、印刷機に供給する用紙の形状にあります。この違いが、対応できる用紙や生産の進め方を左右します。
給紙方式と生産スピードの違い
枚葉印刷は、A判やB判などにカットされた枚葉紙を1枚ずつ機械に送り込んで印刷します。1枚ごとに給紙するため、紙の伸縮や見当(レジスター)を細かく調整しやすく、網点の再現を安定させやすい方式と言えます。一方の輪転印刷は、巻き取り紙を連続して送りながら印刷するため、単位時間あたりの生産量を大きく確保できます。印刷と同時に折りや断裁まで機械内で進められる構成もあり、大部数の案件で効率の高さが際立ちます。
それぞれが適している領域
両方式に優劣はなく、案件の性質に応じた使い分けが基本です。枚葉印刷は、厚紙や特殊紙を含む幅広い用紙に対応でき、箔押しやエンボスといった後加工とも組み合わせやすいため、パッケージや会社案内、カタログなどで採用が続いています。輪転印刷は、部数が多く、決まった用紙で継続的に生産する案件に適した方式です。どちらの方式にも適したインキが用意されているため、方式を決めたうえでインキを選ぶ流れが実務的です。
枚葉印刷で使われるインキの種類

枚葉印刷では、乾燥・硬化の仕組みが異なる複数のインキが使われます。それぞれ特性が違うため、案件の条件に合わせた選択が必要になります。
| インキの種類 | 特性と適した場面 |
|---|---|
| 油性枚葉インキ | 紙に浸透しながら酸化重合で乾燥し、幅広い用紙で扱いやすい |
| UVインキ | 紫外線を照射して硬化し、後加工へ移りやすくフィルムにも対応しやすい |
| 環境対応グレード | VOCフリーやバイオマス由来のグレードが選べる |
| 特色・専用色 | 指定された色に合わせて調色し、掛け合わせでは届かない色に対応する |
油性枚葉インキの特性
油性枚葉インキは、紙に浸透しながら、空気中の酸素との酸化重合によって自然に乾燥します。インキが紙に馴染むため、落ち着いた風合いに仕上がりやすく、幅広い用紙で扱いやすい点も特徴に挙げられます。乾燥に一定の時間を要するため、後加工までの工程設計にその時間を織り込む配慮が要ります。植物油インキマークは、油性枚葉インキの多くが対象となります。乾燥にエネルギーを使わない点も、環境配慮が求められる案件で選ばれる理由です。
UVインキの特性と生産性
UVインキは、紫外線を照射して硬化させる仕組みのインキです。乾燥を待つ工程がないため、印刷後の後加工へ移りやすく、生産の流れを組みやすい点が実務上の利点です。フィルムなどの非吸収基材にも対応しやすく、用途の幅も広がります。硬化には紫外線照射設備が必要で、基材や膜厚に応じた条件設定が求められるため、導入時には生産条件とあわせた検討が効果的です。
環境対応グレードという選択肢
得意先の要件として、環境への配慮が挙がる案件も増えました。揮発性有機化合物の含有量を抑えたVOCフリーのグレード、バイオマス由来の原料を用いたグレードなど、選択肢は広がっています。植物油インキマークは、油性枚葉インキでは植物油20%以上、UVインキでは7%以上が対象の基準です。対応できるマークの種類や適用条件はグレードごとに違うため、求められる要件を整理したうえでインキメーカーに相談すると、条件に合う製品へたどり着けます。
特色・専用色への対応
ブランドカラーの指定がある案件では、プロセスインキの掛け合わせではなく特色(特注色)で対応する場面が出てきます。特色は指定された色に合わせて調色するため、掛け合わせでは届かない色や、刷り物ごとの色ぶれを抑えたい用途に向いています。金や銀などの金属光沢、蛍光色といった意匠性の高い表現も、専用のインキで対応する領域です。必要な色の指定方法、対象となる基材、想定数量をお知らせいただければ、調色の可否を含めてご相談に応じます。
UVインキ・環境対応グレードもご用意しています
UVインキの製品情報 →枚葉印刷でインキを選ぶ際の判断軸

インキの選定は大きく2つの段階に分かれます。まず、生産条件や求める生産性、設備環境などを踏まえて、油性枚葉インキとUVインキのどちらを使用するかを決定します。次に、選択したインキ系統の中から、印刷する基材や求められる品質、後加工の有無・内容などに応じて最適なグレードを選定します。以下の判断軸のうち、乾燥・硬化の条件と生産スピードは第1段階で使う材料です。基材と後加工、色再現と品質管理は第2段階で確認します。トラブル発生時の切り分けは、どちらの段階でも共通して押さえておきたい観点です。
| 判断軸 | 確認する内容 |
|---|---|
| 基材と後加工 | 用紙やフィルムの種類、箔押し・ラミネート・ニス加工の有無 |
| 乾燥・硬化の条件と生産スピード | 生産スピード、印刷後に確保できる時間、紫外線照射設備の有無など |
| トラブル発生時の切り分け | 発生した工程、基材の種類、設備の設定値、発生頻度を記録する |
| 色再現と品質管理 | 色見本との照合方法、測色で管理する数値、刷り出しの判断基準 |
基材と後加工に合わせた選定
同じ枚葉印刷でも、コート紙、非塗工紙、厚紙、フィルムでは、インキの定着や発色の出方が変わります。一般的に、フィルムなどの非吸収原反ではUVインキが選択されます。さらに、箔押しやラミネート、ニス加工といった後加工を行う場合は、加工適性のあるインキを選ぶ必要があります。UVインキで密着が求められる案件では、原反をお預かりしてテストを行い、結果に基づいて選定する進め方が堅実です。油性インキは基本的に紙原反へ使用するため密着という概念がなく、合成紙に印刷する場合は合成紙用インキを使用します。
乾燥・硬化の条件と生産スピード
従来の油性インキとUVインキでは、乾燥・硬化の仕組みが違うため、工程設計への影響も変わってきます。連続して印刷する際の生産スピード、印刷後に確保できる時間、紫外線照射設備の有無などを整理しておくと、実際の運用に合うインキが見えてきます。裏移りや擦れといった現象は、インキ単体ではなく工程条件との組み合わせで生じます。条件を共有したうえでご相談いただければ、原因の切り分けから対応できます。
トラブル発生時の切り分け
油性インキの乾燥不良、UVインキの硬化不良や密着不良、印刷物の擦れといった不具合は、インキ・基材・設備条件のいずれか一つではなく、複数の要因が重なって表れる場合が少なくありません。切り分けの手がかりとして、発生した工程、基材の種類、設備の設定値、発生頻度の4点を記録しておくと原因の特定が進みます。当社では、UV印刷で起こりやすい事象について、症状別の技術情報を公開しています。まずは近い症状がないかご確認いただき、該当がなければ条件をお知らせください。
症状別の技術情報を公開しています
UV印刷トラブル問答(硬化不良・密着不良・印刷物不良ほか) →色再現と品質管理
枚葉印刷は網点の再現を安定させやすい方式であり、色の管理指標を決めておくと品質を維持しやすくなります。得意先の色見本との照合方法、測色で管理する数値、刷り出しの判断基準などを事前に取り決めておくと、案件ごとのばらつきを避けられます。耐光性や耐摩擦性が求められる用途では、性能面から適したグレードを選ぶ検討も必要です。
インキの切り替えを検討するときの手順
インキの切り替えには、油性インキからUVインキへ変える場合と、同じ系統の中でタイプを変える場合の2つのパターンがあります。前者では、UV印刷機をお持ちでなければ設備投資が最大の課題です。いずれの場合も、次の流れで進めると現場への影響を抑えられます。
| 手順 | 実施内容 |
|---|---|
| 現状の課題を具体化する | 乾燥待ちの時間、特定の基材での密着、環境対応の要件などを言語化する |
| テストの範囲を決める | 1台の印刷機・1種類の基材から始め、用途に合わせて必要な項目を記録する |
| 現場への定着まで見届ける | 切り替え直後は条件を細かく残し、安定したところで標準条件に固める |
| 在庫と供給の見通しを確認する | 使用量の見込み、保管できる期間、発注から納入までに要する日数 |
現状の課題を具体化する
まず、いま何に困っているのかを言語化します。乾燥待ちの時間が長い、特定の基材で密着が出ない、環境対応の要件に合わない。課題が具体的であるほど、提案できる選択肢も絞られます。系統の変更を伴う場合は、UV印刷機の有無や紫外線照射設備を増設できるかどうかも、この段階で確認しておきたい前提です。逆に「もっと良いインキが欲しい」という粒度では、比較の軸が定まりません。
テストの範囲を決める
次に、どこまでを試すかを決めます。1台の印刷機・1種類の基材から始めるのが現実的な進め方です。全ラインで一斉に切り替えると、問題が起きたときの切り分けが難しくなります。テストの結果は、用途に合わせて必要な項目を記録しておくと、次の判断につながります。
現場への定着まで見届ける
インキを変えると、印刷条件の勘所も変わります。オペレーターが慣れるまでの期間を見込んでおくと、立ち上がりの混乱を避けられます。切り替え直後は条件の記録を細かく残し、安定したところで標準条件として固める流れが堅実です。導入後のフォローについても、あらかじめ相談しておくと安心です。
在庫と供給の見通しを確認する
量産に入る前に、必要量と納入のタイミングも押さえておきたい点です。使用量の見込み、保管できる期間、発注から納入までに要する日数。この3点を共有いただければ、供給面の見通しをあわせてご案内できます。長期にわたって使い続ける品目であれば、供給の継続性も選定材料の一つになります。既存品の生産終了や後継グレードへの切り替えが生じる場合もあるため、案内が届いた段階で早めにご相談ください。
まとめ
枚葉印刷は、カットされた用紙を1枚ずつ給紙する方式で、幅広い用紙と後加工に対応しやすい特性があります。輪転印刷とは適性が異なるため、部数や用紙、納期といった案件の条件に応じて使い分けるのが基本です。そのうえで、生産条件や設備環境から油性枚葉インキとUVインキのどちらを使うかを決め、基材や後加工に応じてグレードを選ぶことで、仕上がりと生産性の両方を確保しやすくなります。
枚葉印刷は長く使われてきた方式ですが、求められる要件は変化しています。環境対応、生産性、後加工の多様化。どれもインキの選定に関わる要素です。
T&K TOKA では、油性枚葉インキからUVインキ、環境対応グレードまで、枚葉印刷に対応する製品をご用意しています。基材や後加工、生産条件に応じた選定のご相談やテストも承りますので、インキの選定でお困りの際はお気軽にお問い合わせください。
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