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ベジタブルインキ(植物油インキ)とは?ソイインキとの違いやメリットを徹底解説

インキ
環境に配慮した印刷物を作成したいと考えているものの、ベジタブルインキとは一体どのようなものなのか分からず悩んでいませんか。この記事では、企業の広報担当者やデザイナーに向けて、ベジタブルインキの仕組みから導入する際のメリットまでを分かりやすく解説します。読み終わる頃には、自社の印刷物に環境配慮型のインキを正しく採用し、社会に向けた取り組みとして自信を持って発信できるようになります。
この記事の目次
  1. ベジタブルインキ(植物油インキ)とは?基礎知識を解説
    • ベジタブルインキの定義と特徴
    • 大豆油インキ(ソイインキ)との違い
  2. ベジタブルインキを印刷物に使用する3つのメリット
    • 環境負荷の低減とSDGsへの貢献
    • 発色の良さと印刷品質
    • 企業のブランドイメージ向上とアピール効果
  3. ベジタブルインキの注意点とデメリット
    • 乾燥性とコストに関する注意点
    • 完全な植物由来ではない点への理解
  4. 植物油インキマークの表示基準と取得方法
    • 植物油インキマークの概要と役割
    • 印刷物へのマーク表示条件と申請手続き
  5. ベジタブルインキと関連する環境配慮型インキの種類
    • ノンVOCインキの特徴
    • バイオマスインキの特徴
  6. まとめ

ベジタブルインキ(植物油インキ)とは?基礎知識を解説

普段何気なく目にしているチラシやパンフレットの多くに、環境に配慮したインキが使われていることをご存じでしょうか。その代表が「ベジタブルインキ(植物油インキ)」です。石油系溶剤の一部を植物由来の油に置き換えることで、揮発性有機化合物の排出を抑えた環境配慮型のインキとして、現在では広く普及しています。ここではその定義や特徴、前身であるソイインキとの違いを順に解説します。

ベジタブルインキの定義と特徴

ベジタブルインキは、従来の印刷インキに含まれていた石油系溶剤の一部を、植物由来の油に置き換えたインキのことです。大豆油や亜麻仁油、ヤシ油、パーム油といった再生産可能な植物油や、使用済みの廃食用油などをリサイクルした再生油を使用して作られています。従来のインキは石油系の成分を多く含んでおり、印刷工程で大気汚染の原因となる物質を発生させる課題がありました。植物油を配合したインキは、こうした石油資源の消費を抑えられます。また、配合される植物油そのものは、条件によっては微生物に分解されやすいとされています。現在では、一般的な油性オフセット印刷で使われるインキの大部分が、この環境配慮型に対応した製品に切り替わっています。私たちが普段手に取る身近な印刷物でも、特別な指定をしなくても自然に使われていることが多いと言えるでしょう。

大豆油インキ(ソイインキ)との違い

ベジタブルインキと大豆油インキ(ソイインキ)の違いは、インキの原料として使用できる油の範囲です。環境にやさしいインキとして、以前はソイインキという言葉が広く普及していました。しかし、食料となる大豆を工業用途で大量に消費することについて、世界的な食料不足や価格高騰の観点から懸念されるようになりました。そこで、大豆以外の植物油や再生油なども幅広く活用できるように、インキに含まれる植物油の対象範囲が見直されたのです。その結果として、多様な植物油を使用できるベジタブルインキという枠組みが新しく誕生しました。これに伴い、従来のソイインキマークは2011年に使用期限を迎え、新規申請の受付が終了しています。現在では、より広い意味を持つ植物油インキマークへの移行が進んでいます。

ベジタブルインキを印刷物に使用する3つのメリット

持続可能な社会への関心が高まる中、企業の印刷物に求められる価値も変化しています。ベジタブルインキは、こうした時代の要請に応える環境配慮型インキとして注目されています。導入することで得られるメリットは大きく分けて3つあります。環境負荷を低減してSDGsに貢献できること、発色や定着の良さで印刷品質を保てること、そして企業姿勢を視覚的にアピールし、ブランド価値を高められることです。

メリットの観点 従来の油性インキの特徴 ベジタブルインキの特徴
環境への影響 揮発性有機化合物が多く排出される傾向にある 植物由来のため揮発性有機化合物の発生を抑えられる
印刷の仕上がり 鮮やかな発色と安定した品質を実現できる 従来の油性インキと同等の発色・定着性を保てる
企業への効果 特筆すべき環境へのアピールポイントはない マークを表示してSDGsへの貢献を明確に発信できる

環境負荷の低減とSDGsへの貢献

ベジタブルインキを採用する大きなメリットは、環境負荷を減らし、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に貢献できることです。従来の油性インキを使用した場合、印刷工程で揮発性有機化合物が大気中に放出され、環境汚染の一因となっていました。しかし、植物由来の油を代わりに使用することで、こうした物質の発生を抑えることが期待できます。さらに、植物油そのものは生分解性を持つとされています。企業が自社の印刷物にこのインキを選ぶことは、資源消費を抑え、持続可能な社会づくりに貢献する具体的な取り組みとなります。環境問題に積極的に取り組む姿勢を示すことは、企業の社会的な責任を果たす上でも重要です。

発色の良さと印刷品質

環境に配慮しているだけでなく、印刷の仕上がりという点でもベジタブルインキは安定した品質を発揮します。植物由来の油はインキの流動性や乾燥性、光沢を良好に保つ性質を持っており、紙に印刷した際にも鮮やかで美しい仕上がりが期待できるためです。色の定着性も従来の油性インキと同等の水準を保てます。環境への優しさを優先すると、印刷の品質が落ちてしまうのではないかと不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。しかし実際には、従来の油性インキと比較しても遜色のない品質を保てるというわけです。

企業のブランドイメージ向上とアピール効果

植物油インキを採用した印刷物を作成することは、企業のブランドイメージを高める手段の一つとなり得ます。商品パッケージや会社のパンフレットに専用のマークを表示することで、環境問題に真剣に取り組んでいる姿勢を視覚的に伝えることができるからです。現代の消費者は、商品の機能だけでなく、その企業が社会に対してどのような責任を果たしているかを重視する傾向にあります。そのため、環境に配慮した素材を意図的に選ぶことは、取引先や顧客からの信頼を獲得する大切な要素と言えます。特別な広告を打たなくても、お客様に渡す印刷物そのものが自社の姿勢を伝える役割を果たしてくれます。

ベジタブルインキの注意点とデメリット

ベジタブルインキはメリットの多いインキですが、実際に印刷物へ導入する前には、いくつかのデメリットや注意点を正しく理解しておくことが大切です。植物由来の成分を使うことによる印刷工程上の特性や、「植物油インキ=100%自然素材」という誤解を生まないための配慮など、企業として知っておくべきポイントがあります。ここでは、乾燥時間やコスト面の注意点と、ベジタブルインキの組成に関する正しい理解について解説します。

項目 乾燥性とコストに関する注意点 完全な植物由来ではない点への理解
注意点 乾燥性は従来の油性インキと同等/原料価格でコストが変動し得る 100%植物由来で作られているわけではない
背景・理由 乾性油の使用で乾燥性を確保/植物油原料の価格変動があるため 性能維持のため顔料や添加物が必要
具体的なリスク 特殊配合インキでは製造コストが変動する場合がある 過剰表現で顧客との認識ズレが生じる恐れ
対応策 事前に印刷会社と納期・費用を相談する 事実に基づき正確な情報を発信する

乾燥性とコストに関する注意点

環境に優しいベジタブルインキですが、導入にあたって知っておきたい点もあります。かつての大豆油インキは半乾性油を使用していたため乾燥がやや遅い傾向がありました。現在の植物油インキは亜麻仁油などの乾性油を使用できるため、乾燥性は従来の油性インキと同等の水準を確保できます。また、植物油原料の市場価格や、植物油の含有量が高い特殊配合インキを個別に発注するケースでは、通常の印刷よりコストが変動することがあります。事前に印刷会社と相談し、納期や費用感のすり合わせを行っておくことが大切です。

完全な植物由来ではない点への理解

もう一つの注意点は、ベジタブルインキが完全に植物由来の成分だけで作られているわけではないという事実です。インキの性能を維持し、印刷機で安定して使用するためには、顔料や乾燥を促すための添加物などが含まれています。あくまで「石油系の溶剤の一部を植物油に置き換えている」という点を正しく理解しておく必要があります。100パーセント天然成分であると誤解して情報を発信してしまうと、顧客との間で認識のズレが生じる恐れがあります。自社の広報物でアピールする際は、過剰な表現を避け、事実に基づいた正確な情報を伝えるよう心がけてください。

植物油インキマークの表示基準と取得方法

環境に配慮した印刷物であることを視覚的にアピールするツールとして、広く活用されているのが「植物油インキマーク」です。ただし、このマークは誰でも自由に印刷物へ表示できるわけではなく、印刷インキ工業会が定めた一定の基準を満たし、所定の手続きを経たうえで使用が認められる仕組みになっています。ここでは、マークが持つ役割や意味、そして自社の印刷物に表示するために必要な条件や申請手続きの流れを順に解説します。

項目 マークの概要と役割 表示条件と申請手続き
役割 環境配慮を示す証明 基準を満たした印刷物に表示可能
管理団体 印刷インキ工業会 印刷インキ工業会が基準を策定
条件 「VEGETABLE」の文字をあしらった緑色のデザイン 油性枚葉インキは植物油20%以上(UVインキは7%以上)
取得方法 マークで環境配慮を一目で伝達 許諾契約を結んだ印刷会社を通じて使用

植物油インキマークの概要と役割

印刷物に環境配慮の取り組みを明示するために用意されているのが、植物油インキマークです。このマークは、印刷インキ工業会が定めた基準をクリアしたインキを使用していることを証明する役割を果たしています。「VEGETABLE」の文字をあしらった緑色のデザインが特徴で、パンフレットやパッケージの裏面などに印刷されているのを見たことがある方も多いでしょう。このマークを表示することで、一目で環境に配慮した製品であることが相手に伝わります。マークの運用ルールや基準については、印刷インキ工業会が公式に管理しており、インキの種類ごとに細かな含有量が定められています。

印刷物へのマーク表示条件と申請手続き

自社の印刷物に植物油インキマークを表示するためには、一定の基準を満たす必要があります。具体的には、印刷インキ工業会が定める植物油の含有基準量をクリアしたインキを使用しなければなりません。例えば、一般的なポスターやカタログで使用される「油性枚葉インキ」の場合、植物油を20パーセント以上(UVインキの場合は7パーセント以上)含有していることが条件とされています。この基準を満たしたインキを使用することで、初めてマークの表示が許可されます。実際の手続きとしては、企業が直接、印刷インキ工業会に申請するのではなく、使用許諾契約を結んでいる印刷会社を通じてマークを使用するのが一般的です。そのため、依頼する印刷会社が植物油インキマークの許諾契約を結んでいるかを確認することが重要です。

ベジタブルインキと関連する環境配慮型インキの種類

環境配慮型のインキは、ベジタブルインキ(植物油インキ)だけではありません。印刷業界では、解決したい環境課題に応じてさまざまなタイプのエコインキが開発されており、それぞれ異なる特徴を持っています。原料の由来やVOCの排出量、二酸化炭素の削減など、着目するポイントが異なるため、目的に合わせて選択することが大切です。ここでは、ベジタブルインキと並んで注目されている「ノンVOCインキ」と「バイオマスインキ」の特徴を解説します。

インキの種類 主な原料と特徴 環境問題へのアプローチ方法
ノンVOCインキ 揮発性有機化合物の含有量を1パーセント未満に抑えている 大気汚染の原因となる揮発性有機化合物を極力排出しないようにする
バイオマスインキ 綿や木材などの生物由来の資源を広く活用している 二酸化炭素の排出を抑えて地球温暖化の対策に貢献する

ノンVOCインキの特徴

ベジタブルインキと並んで注目されているのが、ノンVOCインキという環境配慮型のインキです。VOCとは揮発性有機化合物のことであり、大気汚染の原因となる物質を指しています。ノンVOCインキは、この揮発性有機化合物の含有量を1パーセント未満に抑えて製造されたインキです。石油系の溶剤をほとんど使用していないため、印刷現場の作業環境を改善する効果も期待されています。ベジタブルインキが原料の由来に注目しているのに対し、ノンVOCインキは揮発性有機化合物の排出量そのものに着目している点が大きな違いです。目的に合わせてインキを使い分けることで、より深い環境対策が可能になります。

バイオマスインキの特徴

近年、さらなる環境対策として普及が進んでいるのがバイオマスインキです。バイオマスインキは、綿や木材、植物の種など、生物由来の資源を原料の一部として活用しています。植物は成長する過程で二酸化炭素を吸収するため、燃やして廃棄する際にも大気中の二酸化炭素を増やさないという考え方に基づいています。これにより、地球温暖化の防止に貢献できるのが特徴です。ベジタブルインキはインキを構成する油の部分を植物由来にしているのに対し、バイオマスインキはインキを構成する樹脂などの成分にも生物由来の素材を使用しています。自社がどの環境課題に対してアプローチしたいかを考え、最適なインキを選択してください。

まとめ

本記事のポイントを以下にてまとめます。

本記事のポイント
  • ベジタブルインキは石油系溶剤の一部を植物油に置換した環境にやさしいインキである
  • ソイインキの枠組みを広げたものであり食料問題にも配慮した仕組みになっている
  • 一定の基準を満たすことで印刷物に植物油インキマークを表示できる

環境対応型のインキを正しく選択し、企業の持続可能な社会づくりに役立てていきましょう。

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